「『蟹行』は何と読む?意味は?」
「おい地獄さ行(え)ぐんだで!」
これは小林多喜二の『蟹工船』の一節。
虐げられた労働者が直面する厳しい現実を描いた、日本プロレタリア文学の代表作である。
ただし、ここで扱う「蟹行」は『蟹工船』とはまったく関係がない。
「蟹」は「カニ」と読むのが一般的だが、「蟹行」は「かにこう」とは読まない。
「蟹行」の読みと意味
音読みで「カイコウ」と読む。
意味は以下の2つ。
- カニのように横に歩くこと。よこばい。
- 「蟹行文字」で横書きにする欧米の文字。横文字。
出典:大辞林
1.は「蟹」のように「行く」のでほぼ漢字そのままの意味である。
2.はどういうことだろうか。
カニが横に移動するのは子供もよく知っているだろう。
マリオブラザーズに登場するカニ(サイドステッパーという)も横に移動する。
2Dゲームにはなんとも都合がいい生物だなぁ。
この「横に進む」という特徴が、「蟹行」という言葉のイメージにつながっている。
英語やフランス語などは左から右に、横に移動するように書く。
このことから、カニが移動した足跡をイメージして、「蟹」という字を当てている。
「蟹」になぜ「虫」という字を使うのか?
ところで、「蟹」という漢字、いささか疑問に思うことがある。
それは、なぜ「虫」というパーツが入るのかということ。
漢字林で「虫」を引くと、以下の意味がある。
- むし。昆虫類の総称。
- 動物の総称。
なんと、「虫」という字は「動物」という意味も持っているのだ。
これはなぜか、というのは以下のサイトが参考になる。

超かいつまんで説明すると、最古の漢字辞典である『説文解字』によると、「蟲」という字は足がある生き物全般を指していた。
例えば、バッタとかカマキリは「蟲」で、ミミズやナメクジなどは「蟲」ではないということだ。
そして「蟲」の字は昆虫に限らず、より広い意味で小動物全般に使われるようになったと考えられている。…①
また、「虫」は「蟲」の旧字体と考えられていた。…②
①と②から、以下の関係が成り立つ。
「蟲」=「虫」=小動物全般
この意味があるからこそ、「虫」という漢字は昆虫以外にも使われるのだ。
「蛸」、「蛤」、「蛇」など昆虫以外の生き物を表す漢字で「虫」を使う漢字は意外と多いのも納得だ。
「蟹」の字を使った熟語
「蟹」の字を使った熟語を紹介する。
- 蟹眼(カイガン)
- 蟹股(がにまた)
蟹眼
漢字ペディアによると意味は以下の通り。
- カニの目。
- 湯が沸き始めたときに出る小さな泡。また、その状態の沸き具合。
2.は小さな泡がカニの目に似ていることに由来している。
蟹股
漢字ペディアによると意味は以下の通り。
- 両足が外側に曲がっていること。また、その人。
これが一番日常で馴染みがある気がする。
「蟹行」を使った例文
「デザイン重視で蟹行文字にした結果、内容がまったく頭に入らなかった。」といったように使える。
なお、このブログも横書き、つまり蟹行文字で書かれている。
「蟹行」のまとめ
<読み>
カイコウ
<意味>
①カニのように横に歩くこと。よこばい。
②「蟹行文字」で横書きにする欧米の文字。横文字。
<例文>
デザイン重視で蟹行文字にした結果、内容がまったく頭に入らなかった。









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