城崎にて③ ~逆戻~

47都道府県の旅

久谷

餘部の隣駅、久谷。

予定外のイベントとはいえ、ここから本腰を入れた兵庫県の旅が始まる。


前回も書いたが、久谷から餘部まで、自然を感じながら一本道を歩くプランに決定した。


約1時間6分、どんな興奮と感動が待っているのだろうか。

そんな思いを胸にあたりを見渡す。

山々が私を出迎えている、そんな感覚を覚える。



先ほどの写真の反対側。線路側と歩道側の境界がわからない。

しばらくは駅の出口もわからなかった。


なんとか駅のふもと(?)に降りる道を見つけ、歩みを進める。

この日は1月にしてはかなり暖かった。

3月の、春の到来を予感させるような暖かさ。リュックを背負って歩くと少し汗ばむ。


久谷周辺の住宅などに目を向けながら、目的地・餘部へとGoogleマップの道筋を辿っていく。

時の流れが止まっているかのような、静寂につつまれた村を歩いている。

喧騒の地を離れ、心を整えることができたのも怪我の功名である。

子供に話しかけられたら、「野鳥の撮影が趣味でねぇ」と元気よく笑う準備をしていた。


逆戻

順調に歩を進めていたところ、道の途中に立て看板。内容を読むとそこには…

なんと、通行止め!!

目が節穴でなければ、確かにそう書かれている。

放心し、1分ぐらいその場に立ちすくむ。

餘部まで歩くという計画がすべておじゃんだ。

炎上手前のプロジェクトのごとく、予定通りにことが運ばない。

覆水盆に返らず、嘆いていても仕方ないので、次の一手を考える。

コンビニでもあれば時間をつぶせるのだが…

地図の縮尺を間違ってはいないだろうか。

5kmほど西にかろうじてコンビニが存在しているようである。

次の電車が来るまで1時間ほど、久谷で待つしかなくなった。

「道路が通行止め!来た道を引き返すことに。6マスもどる。」

人生ゲームだとこんなところであろうか。


まぁ、人生たまには戻ってみることも悪くはない。

久谷をゆっくり探検することに。

予定外を楽しむ心こそ、旅人に必須のものである。


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