いざ餘部
城崎温泉駅から餘部駅へは、JR山陰本線の電車で向かう。
これまたレトロなワンマン列車の2両目に乗車する。
お気に入りの音楽を聴きながら、電車で揺られる旅もまたいい。

重厚感のある茶色い座席に着席。
40分ほどで餘部に到着する予定である。
画像は撮り忘れてしまったが、昔使われていたであろう運賃箱が車内で存在感を漂わせていた。

外を見れば、潮風を感じそうな景色が広がる。
ゆっくりと景色を眺められるのが電車旅のいいところ。

電車の心地よい揺れに微睡みながらも、時計を確認しそろそろ餘部へ到着するころだと立ち上がる。
通過
ワンマン電車のドアの開閉には、ボタン式も用いられることは知っている。
(下の画像は山陰本線ではない)

ドア付近に立ち、ホームが見えて停車した頃合いで「開」ボタンを押す。
しかしドアが開かない。故障か?
ああ、餘部は観光地だからドアが自動で開いたりするのだな。
と楽観的であれたのも束の間。
見間違いでない、もしくは自分の平衡感覚が狂っていない限り、確かに電車は出発し始めている。
目の前を横切る餘部の看板。いったい何が起こっているのだ。
半ば錯乱しそうな状態でドアをよく見ると、驚愕の注意書きが目に飛び込んできた。

※2両ワンマンの時は、後ろの車両のドアは開きません
注意書きが、エコーのように脳内に響き渡る。
郷に入っては郷に従え、その土地のルールを知らなかった自分の責任である。
おそらくアナウンスもされていたであろうが、お気に入りの音楽で聴覚をシャットアウトしていたことが仇となる。
しかし、後悔している時間はない。次の行動を考えなくては。
頭をフル回転させ、選択肢を頭に浮かべる。
①折り返しの電車に乗る
通常ならばこの選択肢。しかし、調べると次の駅で降りたとして1時間ぐらい待たなければならない。
何駅か先まで乗って、タイミングよく折り返せばよいが、少々時間がもったいない。
②隣駅から歩く
歩ける距離であれば選択肢に入る。
知らない土地を歩くというのも、旅の醍醐味でもあるなぁと思い、Googleマップで検索する。

1時間6分、5.3kmなら時間も①とそんなに変わるまい。
分速80mが基準だとすれば、早歩きで行けば予定よりも短縮できる可能性もある。
そんなわけで、隣駅で降りて歩くという選択肢を取ることに。
今度こそ1両目前側のドアから、隣駅へと降り立った。
旅は五感をフル活用しろ、という教訓とともに。

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